ポルシェ911 GT2RS(991)PDK修理
「T/M故障 リバースギヤ不可」故障コードP1733|ギアポジションセンサー交換
しかし今回入庫したのは、走行わずか約4,000kmのポルシェ911 GT2RS(991)。メーターには「T/M故障 リバースギヤ不可 運転可能」の警告が表示されていました。
PIWIS診断の結果は故障コードP1733。原因はPDKで定番のギアポジションセンサー不良です。GT・RS系でもPDKは壊れる——今回はその実例をご紹介します。
車両情報と症状
| 車種 | ポルシェ911 GT2RS(991型) |
|---|---|
| トランスミッション | PDK(ZF製 7DT75) |
| 走行距離 | 約4,000km |
| 症状 | メーターに「T/M故障 リバースギヤ不可 運転可能」表示/後退不可 |
| 故障コード | P1733(PDK) |
| 修理内容 | ギアポジションセンサー交換、クラッチオイル交換、PDKオイルパン(ストレーナー一体型)交換 |
GT2RS・GT3RS・GT3などのGT系は、通常モデルと同じZF製7DT75を使いながら、内部のクラッチパックやベアリングなどが強化されています。それでもギアポジションセンサーは故障します。走行距離や車格で「うちの車は大丈夫」とは言い切れないのがPDKです。
ギアポジションセンサー故障の症状はバラバラ
ギアポジションセンサーが故障したときの症状は、車両によって大きく異なります。今回のように前進のみ可能で後退できないケースもあれば、2速のみで前進でき、後退は可能というケースもあります。
- ギアポジションセンサーには4つのチャンネルがあり、どのチャンネルがどう壊れたかで症状が変わる
- センサーのドリフト(検出値のずれ)の内容によっても症状が変わる
- そのため「前進不可」「後退不可」「特定のギアしか入らない」など、出方は一定ではない
症状だけで判断せず、PIWISで故障コードと実測値を確認することが大切です。
PIWIS診断:故障コードP1733を確認
ポルシェ専用診断機PIWISでPDKの故障メモリを読み出すと、P1733が作動中(active)で記録されていました。
| 故障コード | 内容 | 状態 |
|---|---|---|
| P1733 | シフトロッド3の位置センサー情報が有効範囲外(Invalid Signal) | Active |
PDK内部でギアを選択するシフトロッドの位置を、センサーが正しく検出できていない状態です。ギア位置が確認できないため、TCU(ミッションコンピューター)が保護制御に入り、リバースを禁止して「リバースギヤ不可」と表示していました。
同じP1733による修理は、911(991.2)PDKギアポジションセンサー交換の事例でもご紹介しています。
修理内容:ギアポジションセンサー交換
原因は、PDKで定番の故障となっているギアポジションセンサーの不良です。当店ではこれまでに100台以上のギアポジションセンサー交換を行っています。
ギアポジションセンサー
クラッチオイル・オイルパン(ストレーナー一体型)も同時交換
センサー交換に合わせて、クラッチオイルとPDKオイルパン(ストレーナー一体型)も交換しました。オイルパンは純正新品(品番 9P1 321 359)を使用しています。
PIWIS診断
故障メモリと実測値から、ギアポジションセンサーの不良と判断。
ギアケース分解
専用工具を使ってギアケースを開け、センサーにアクセス。
ギアポジションセンサー交換
シンクロギアの位置を崩さないよう、慎重にセンサーを交換。
オイルパン・クラッチオイル交換
ストレーナー一体型オイルパンを新品に交換し、クラッチオイルも新油に。
組付け・最終確認
PIWISで故障メモリを確認し、試運転で全ギアの作動をチェック。
ギアケースの分解は簡単、組付けは難しい
ギアポジションセンサーの交換にはギアケースを開ける必要があり、専用工具が欠かせません。当店では当初、この工具を自作して対応していました。最近は海外サイトなどでPDK分解ツールが販売され、分解自体は比較的簡単になっています。
① シフトストロークの引っ張り過ぎ
センサー交換時にシフトストロークを引っ張り過ぎると、シンクロギアの位置がずれてしまいます。
② 2本のシャフトの姿勢
2本のシャフトをベアリングに対して完全な水平・垂直に保ったまま組み込まないと、最後の数ミリが収まりません。
数多く作業している当店でも、稀にうまく収まらないケースがあるほどの作業です。工具があれば分解はできても、確実に組み上げるには経験が必要です。
修理後:故障メモリなし・リバース正常
交換後にPIWISで故障メモリを確認し、「故障メモリエントリ未設定」となったことを確認。警告表示も消え、リバースを含む全ギアが正常に入ることを試運転で確認して納車となりました。
「T/M故障 リバースギヤ不可」が出た場合、正規ディーラーではPDK本体のASSY交換を提案されるのが一般的です。GT系のPDKは内部が強化された専用品のため、ASSYで載せ替えるとPDK本体だけで500〜600万円ほどになると思われます。
当店ではPDKを分解し、原因箇所だけを修理します。今回もセンサーと油脂類・オイルパンの交換で修理が完了しました。
よくあるご質問
GT2RSやGT3などのGT・RS系でもPDKは故障しますか?
はい。今回のGT2RSは走行約4,000kmでギアポジションセンサーが故障しました。モデルや走行距離に関係なく発生する可能性があります。
「T/M故障 リバースギヤ不可」が出ても走れますか?
今回は前進のみ可能で、後退ができない状態でした。ただし症状はセンサーの壊れ方によって異なり、2速しか入らないケースもあります。症状が進む前に診断をおすすめします。
GT系のPDKは通常モデルと違うのですか?
GT2RS・GT3RS・GT3などは同じZF製7DT75ですが、内部のクラッチパックやベアリングなどが強化されています。そのためASSY交換の費用も高額になります。
P1733はどんな故障コードですか?
シフトロッド3の位置センサー情報が有効範囲外であることを示すコードです。当店ではギアポジションセンサーの不良で多く見られます。
まとめ
「GT・RS系は壊れない」は先入観でした。超低走行のGT2RSでも、PDKのギアポジションセンサーは故障します。そして警告が出ても、必ずしもミッション丸ごとの交換が必要とは限りません。
こんな症状でもお気軽にご相談ください
・メーターに「T/M故障 リバースギヤ不可」と表示された
・P1733・P1737などのエラーコードが出ている
・GT3・GT3RS・GT2RSなどGT系でPDK警告が出た
・前進しかできない/2速しか入らない
・ディーラーで「ミッション載せ替え」と言われた
横浜・東京を中心に、全国からのご相談を承っております。


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